長女は4月から高校生。年度始まりということで、学校では「身上調査表」が配られたようだ。この手の書類、必ずあるのが〔特技〕とか〔趣味〕の欄。私の場合「スラスラ書ける人って、うらやましいなぁ」なんて思ってしまうのだけど─。
夕食後にさっそく書き込み始めた長女も、やはりその欄に来てペンを持つ手がハタと止まった。長女「特技はなんだ?」次女「私は逆立ち」三女「私はかけっこリレーの選手だし」
長女はヘラヘラ苦笑い。
母「…のんびりすることか それとも寝る事 」一同大爆笑
母「『無し』でいいか 」
長女「はははは そうそう、別に、特技なんかなくても楽しいし。…しかし『無し』っていうのはどうも…」
子どもって、幼いうちは自分自身に絶対的な自信を持っている。小4の三女は昨年、オリンピックを観て「私、金メダリストになるからそしたらママに金メダル触らせてあげるね 」と目を輝かせていたものだ。それが、一歩ずつ大人に近づくにつれて現実を知り、体裁が気になり、自分の良さが分からなくなり…。長女もそんな年頃になりつつあるんだなぁ。
相田みつをの詩じゃないけれど、「そのままでええがな」。特技がなくたって、生きているだけで充分価値があるのよ。何ができるかとか上手いかということと、人の値打ちとは関係ないよ。
特技というと、人より優れていることを探しちゃうものだけど、比べる相手は他人ではなく、昨日の自分だと、私の母は言っていた. 特技が無いとカッコワルイかもしれないけれど、そのまんまのはだかんぼうの自分にOK出せるって、とっても大切だよ。
そんな風に語り合う中、果たして長女は、小学生時代に習っていた「フラ」と記入したのだった。
長女「高校に入ったらまた習おうかと思ってるんだ」
そうだよそうだよ。これから特技にすればいいよ。それに、その前向きな明るさこそが特技だと思うよ。胸の中でほっとうなずく母なのでした。