「廊下を走るな」

こんなポスター、学校でよく見かけませんか?

そのポスターのまん前をスキップして走り抜ける生徒っていますよね。

「走っちゃ駄目って書いてあるでしょ!」と注意すると、「走ってないもん。スキップだもん」と、得意げに言い訳する…まったく、もう。

職場では、こんな経験もよくあると思います。先輩から「そういう接客態度は駄目!」と注意され、誠心誠意対応しても「どうしてそんなことするの!」と、またお叱りが飛んでくる…。

そう、どちらの場合も、「駄目」と言われたものの「どうすれば良いのか」を知らされていません。簡単なことですが、それが抜けているだけで、叱っても逆効果になってしまう。これ、日常的にもありがちなことではないでしょうか。

例えば、危ないことをする子どもに向かって「駄目、駄目。『やっちゃいけない』って言ったでしょ」と、否定だけを繰り返してしまう。そんな自分を振り返って、「ああ、がみがみ怒らないようにならなきゃ」なんてため息をつく。「些細なことでイライラしちゃいけないないのに」……否定って、どうしてこう、キリがないのでしょう。

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じつはこれ、脳の働き方に理由があるそうです。人間は、何かを否定されたとき、否定された事柄を脳の中で一度思い浮かべてから、打ち消す作業をしているといいます。

また、脳には「思い浮かべた通りのことを、無意識に行動に移す」という特徴もあるのだそうです。

つまり、

「宿題を忘れちゃ駄目でしょ!」

「遅刻をしちゃ駄目でしょ!」

「テストで間違っちゃ駄目でしょ!」

そんな否定的な言葉を浴びれば浴びるほど、宿題を忘れること、遅刻すること、テストで間違えることを、かえって強く思い浮かべてしまうわけです。

「宿題を忘れたのね。本当はどうしたかったの?」

そんな言葉は子どもの自発性を促し、将来の夢を聞くことにつながります。

そうそう、自分自身にもこう問いかけたいものです。「本当は、どんなお母さんでありたいの?」ってね。