みんなで外遊び③「葉山・つくしんぼの会」

 

葉山・つくしんぼの会は『自然と仲間が子どもを育てる』を基本コンセプトに、保護者と保育者による

共同野外保育を行っています。

あくまでも主役は子ども!

子どもだけの社会をつくるために

・親は『待つ』姿勢(黒子になる)。

・指示や禁止の言葉を掛けない。

・遊びの仕掛けもなし。

ということをとても大切にしています。

 

12月の半ば、つくしんぼの会を体験してきました。

北風のふく寒い日でしたが、集合場所に集まってきた子どもたちはみんな薄着!

中には半袖の子もいました。

逗子や葉山以外にも、秋谷から参加する子どもたちもいるそうです。

お母さんやお父さんに車で送ってもらいますが、保育者の待つ集合場所でおうちの方はとお別れ。

すでに始まってから9か月が経っていることもあってか、殆どの子どもたちがケロッと「バイバーイ」と

お別れしていました。人数が揃い、保育者の「じゃ、行こうか」の声で静かに出発です。

車の多い通りは手をつなぎましたが、横道に入ってからは自由です。

先頭と最後尾の保育者を抜かさないこと以外、何も決まりはありません。

お友達とおしゃべりしながら、ご機嫌で歩き出しました。

 

突然、「ウェ~ン!!」と大きな鳴き声。どうやら転んでしまったようです。

けれど、保育者や当番のお母さんは何も声をかけず、ただ離れたところから見守っています。

子どもたちが「大丈夫?」と気遣い、声をかけつつ進んでいきます。

転んでしまった子もしばらく泣いて気が済んだのか、一人で立ち上がり

何事も無かったかのように歩き出しまた皆の中に入っていきました。

この一連の光景に、ちょっとビックリ!!

なんだ~子どもって、案外強いではないか・・・。大人が「ダイジョブ?イタイイタイの飛んでけ~」なんてやらなくても

一人で立ち上がり気持ちを立て直す力を持っているではないか!と目から鱗でした。

もちろん、初めからこのように一人で立ち直れるようになったわけではなく

この9か月の積み重ねの結果なのだそう。

子どもだけでなく、大人も忍耐が必要です。

 

しばらく行くと「私、寒いからこれ着る」と一人の子がリュックの中から

持ってきた雨具のレインコートを引っ張り出しました。

それを見た数名の子も「私も着る」「僕も」・・・とみんな一斉にレインコートを着始めました。

お天気なのにレインコート・・・あらあら!

「あー!模様が○○ちゃんとおんなじだね!」

「ホントだぁ~!」

なんて言いながらそれはそれはウキウキと楽しそうです。

ついつい「ダメ!今、雨降ってないでしょ!」と言いたくなりそうなものですが

大人は黙ってそれを見ています。

 

今回のコースは、台風の影響なのか、ところどころに倒木がありました。

その倒れた木を見に行くのに、コースからちょっと外れて高いところへ行かなければなりません。

「ちょっと行ってくる~」と次々と子どもたちが斜面を登り始めました。

土から出たツルのような根っこをロープ代わりにしたり

それぞれ自分でつかまる場所や足場を工夫しながら身軽に登っていきます。

大人の手伝いはありません。

スルスルっとさすが山道を歩き慣れた子どもたち。

高いところまで行って景色を堪能したら、今度はお尻をつけてザザザザーと滑り降りてきました。

みんな真っ黒で泥んこですが、誰も気にしていません。

生き生きとして自信を持って、本当に楽しそうです。

つくしんぼが大切にしている「人工物がなくても『自然と仲間』がいれば楽しいことを知る」とは

まさにこの事!と思わずにはいられません。

 

その後も自分より背丈の高い草が生えている道を、ズンズン進んでいきます。

途中で、ペースが違う前のほうと後ろのほうのグループに分かれましたが、そんなに間が空かないように

前のほうのグループはうまく調節しつつ進みます。

「行くよ!」とか「待ちなさい!」「ダメ」など指示や禁止の言葉かけはいっさいありません。

 

そして見晴らしの良い場所に着き、お弁当です。

ほとんどがおにぎりと季節の野菜というシンプルかつ子供が食べやすそうなお弁当でした。

水筒は子どもが持ち歩くには重いため、子どもはコップのみ持参で、保育者が水を持参していました。

お弁当をいただく前に手遊びと絵本読みをします。

この日は、何かしらの理由があるのでしょう、どうしても「食べたくない」という子がいたのですが

無理強いせず、様子を見守ります。

食後はしばらく自由遊びタイム。

斜面に椅子の代わりのように並んでいる丸太に乗って遊んだり、木の枝を集めたり・・・

思い思いに自分の世界で遊ぶ子もいれば、お友達と遊ぶ子もいました。

 

たっぷり遊んで、いよいよ帰ることになりました。

下山場所には保護者の方がお迎えに来ていますが、ちょっと遅れ気味だった今日は

約束の時間より30分遅れそうなことを連絡しておきます。

行きに比べ、帰り道は歩きやすい道。こどもたちはスイスイあっという間に

お迎えの保護者が待つ解散場所に出ました。

保育者は今日のコースについて子どもたちにとってどうだったか話し合い

明日ももう一度歩いてみることにしました。

お迎えのお父さんお母さんに連絡事項を伝えて、解散です。

 

保護者は『みんなで会を運営する』というつくしんぼの理念により、当番制になっています。

連絡係や会計、写真、配車、保険、畑など8つの当番を分担しています。

それぞれの持ち味を発揮し、親となっても何かできること、役に立つことの楽しさを知ることができるといいます。

今日一緒に山を歩いた当番のお母さんにお話を伺いました。

最初は子どもを黙って見守ることに慣れず、すぐに何かしてあげたり声をかけてしまったりしたそう・・・。

けれど今では黒子に徹し、子どもたちを見守り、他のお母さんたちに会の様子を伝えるための写真を

タイミングよく撮ったりと、ご自身の役割を果たせるようになったとのことでした。

 

さて、来年度4月からは、この『葉山・つくしんぼの会』と逗子の『はっぱのたね』が一緒になり

「青空共同保育 つくしとたね」として活動を始めることになりました。

説明会は終了しましたが、会員はまだ募集中です。

問い合わせはhttp://tsukutane.exblog.jp/までお願いいたします。